平成9年6月10日
石井道子 環境庁長官殿
沖縄生物学会会長 香村 真徳
九州・有明海の諌早湾は日本最大の干潟であり、干潟はそこに適応した多種多様な生物を育んでいるばかりでなく、有明海の水産生物の保育場として、水鳥や渡り鳥の休憩、採餌場所として、陸と海の接点として物質循環系におけるフィルター機能を担う場所として、また自然防災機能の場としての重要な役割等、有明海全体の生態系のもつ重要性が多くの科学者によって指摘されております。
諌早湾の干拓問題では、防災効果の有効性、農地としての適性、必要性に関して各方面から疑問が出されています。干潟の保全は地球環境保全の観点から、国際的にも重要な問題とされています。干潟保護と干拓の両立が最新技術により可能ではないかという指摘もあります。既に巨額の経費を投入し、長期の計画に基づく干拓ではありますが、計画の見直しを求める世論が大勢を占めていることが報道されています。
沖縄生物学会第34回大会の総会において、「干潟の生物を絶滅から救うためにとりあえず水門を開放し、干拓計画の見直し、あるいは干拓と干潟生物の共存が可能な方途を探ること」を要請することが決議されました。ここに沖縄生物学会として要請いたします。
沖縄生物学会第34回大会総会決議