学会案内

(1) 沖縄生物学会とは

発刊のことば

戦後沖縄生物学会が設立され、活発な活動をして、種々の有意義な行事を逐行していた。しかし設立後数年たって、いろいろの事情のために年一回の総会さえ開催できない状態になってしまつた。そのため、本学会の重要事業の一つであった機関誌の発行も、ついに実現するにいたらなかった。沖縄生物学会がこのように哀微していったことはいろいろの客観的事情があったとはいえ、まことに残念なことである。

この度、関係者の間から、沖細生物学会再興の声が出て、学会が再出発することになったことはまことに喜びに耐えない。とくに、再出発の総会を前に後関紙第一号が発刊されることは、本学会にとってまことに有意義なことである。今回の再出発を見るにいたったのには、若い層の働きかけが大きかったことを思うとき、本学会の将来の発展に大きな期待が寄せられる。また、琉球大学の招聘教授として来学された東北大学教授加藤陸奥雄博士の論文が創刊号に掲載されたことは、本誌の権威をたかめる上に貢献することが大きい。

私たちは、私たちの住む郷里の白然を、私たちの力で研究しなけれぱならない。とくに沖縄の生物は沖縄に定住している私たちでなけれぱ研究できない多くの部門が残されていると思う。協カして郷土の生物を調べていこう。そして細大もらさずこの機関紙に記録して残そう。私たちが郷土の生物を研究しようとしたとき、資料不足に困ったあの苦い経験を、これから進んでいく後輩たちにはさせたくないものだ。本誌が号を重ねるにつれて立派なものになっていくことを心から祈念するものである。

沖縄生物学会大会準備委員長
池 原 貞 雄