沖縄   第65号

通信

生物学会    2000年4月30日

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沖縄生物学会第37回大会の開催のお知らせと講演プログラム
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 沖縄生物学会の第37回大会が琉球大学共通教育棟において下記の日程で開催されます。16題の一般講演とポスターセッションに加え,シンポジウム「沖縄島のジュゴンとその生息環境(講師:細川太郎氏,香村眞徳氏)」を開催予定です。同日,午後1時から沖縄生物学会の第37回総会も開かれます,会員の皆様の積極的なご参加を期待しております。また,終了後には懇親会も予定しております,ふるってご参加ください。

 大会日程

5月21日(日) 受付 9:30〜 2-202室前廊下
  一般講演 10:00〜11:45 2-201,2-205室
  総会 13:00〜14:00 2-205室
  一般講演  14:00〜16:00 2-205室
  ポスターセッション 10:00〜随時  
  シンポジウム  16:45〜18:00 2-205室
  懇親会  18:00〜20:00 2-202室

** 第37回沖縄生物学会講演プログラム **

一般講演【10:00〜12:00】
1. 10:00〜10:15 シラヒゲウニの食性−消化管内容物の季節変化−
    *平塚悠治(琉大・理工・海洋自然)・上原 剛(琉大・理・海洋自然)
2. 10:15〜10:30 ナガウニ類の種分化と卵と精子の不和合成
    *上原 剛(琉大・理・海洋自然) 
3. 10:30〜10:45 沖縄産ナガウニの種名に関する一考察
    *新垣裕治(名桜大・国際・観光)
4. 10:45〜11:00 尿素施与によるリュウキュウマツ林の土壌菌類の変動
    *稲松研二(琉大・理工・海洋自然)・中村 直(琉大・理・海洋自然)
5. 11:00〜11:15 沖縄島のキノコを形成する子のう菌類
    中村 直(琉大・理・海洋自然)
6. 11:15〜11:30 Litterfall variations in a subtropical broadleaved forest, northern part of Okinawa Island.
    * Laode Alhamd and Akio Hagihara (Faculty of Science, Univ. of the Ryukyus)
7. 11:30〜11:45 湧水(カー)に依存する貴重藻類2種(チョウチンミドロとシマチスジノリ)について
  12:00〜13:00 昼食・休憩
総会【13:00〜14:00】
  14:00〜14:15 休  憩
一般講演【14:15〜15:45】
8. 14:15〜14:30 西表島仲間川の一支流に生息するカワリヌマエビ類の形態変異が種内変異である可能性の検証
    *成瀬 貫(琉大・理工・海洋自然)
9. 14:30〜14:45 沖縄島サンゴ礁域におけるイソギンチャクエビPericlimenes brevicarpalis (Schenkel, 1902)の個体群動態
    *長井 隆(琉大・理工・海洋自然)・諸喜田茂充(琉大・理・海洋自然)
10. 14:45〜15:00 沖縄島産ミナミトビハゼとトビハゼの巣形成場所の選択性
    *大城 勝(知念高校)・津波古優子(琉大・理工・海洋自然)・立原一憲(琉大・理・海洋自然)
11. 15:00〜15:15 沖縄島産メダカの繁殖特性
    *仲村茂夫・宮城和野・高野和則(琉球大・熱生研)
  15:15〜15:25 休  憩
12. 15:25〜15:40

外来ヤシ植物によるクビワオオコウモリの事故死

    *金城和三・伊澤雅子・中本 敦(琉大・理・海洋自然)
13. 15:40〜15:55 ミナミヤモリGekko hokouensisの正体は?酵素タンパク支配遺伝子の沖縄集団と大陸集団間での比較
    *戸田 守(琉大)・Zong Yu・Ma Ji-fan・Qin Jiang-qiang(上海自然博・動物)・疋田 努(京大・理・動物)・太田英利(琉大・熱生研)
14. 15:55〜16:10 ミトコンドリアDNAの塩基配列に基づくカナヘビ属(Takydromus) の系統,形質進化および生物地理に関する研究
    太田英利(琉大・熱生研)・本多正尚(京大・理・動物)・陳賜隆(琉大・熱生研)・松井正文(京大・人環)・Somsak Panha(チュラロンコン大・理・動物)・疋田 努(京大・理・動物)
15. 16:10〜16:25 沖縄島北部森林域におけるマングースの分布及び食性について
    河内紀浩(日本野鳥の会ヤンバル支部)・佐々木健志(琉大・資料館)・中村智映・城ヶ原貴通(琉大・農・生環)・吉田理恵(琉大・理・海洋自然)
ポスターセッション【10:00〜随時】
16. 数種クイナのMt-DMNA分析による分子系統的研究−ヤンバルクイナの12s−rRNA分析と分子系統樹
  *新屋敷文春(沖国大)・嵩原健二(沖縄県博)・押田龍夫・吉田 弘(北大・理・染色体研)
  16:25〜16:45 休憩
シンポジウム【16:45〜18:00】
  沖縄島のジュゴンの生息環境
     細川太郎氏(Love ジュゴン・ネットワーク)     :ジュゴンの現状
     香村眞徳氏(宜野湾市志真志)          :海藻藻場
懇親会【18:00〜20:00】

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 沖縄生物学会第36回大会総会(1999年5月23日)の際に決定したヘリパッドの建設に対する反対決議書を関係団体等に送付いたしました。以下にその決議書の全文と送付先を掲載します。

沖縄島北部地域におけるヘリパッド建設計画に対する反対決議書

 やんばる(山原)の名で親しまれている沖縄北部は,世界で唯一のイタジイとオキナワウラジロガシを核とする亜熱帯降雨林の聖域である。島嶼環境が生み出したこの森林地帯は,東洋のガラパゴスと呼ばれている琉球列島の一角をなすもので,多くの固有種や亜種をも生み出し,独自の生態系を維持してきた。その長い年月が周知のように豊かで多様な生物相を育んできた。
 日米特別行動委員会(SACO)の合意に基づく今回のヘリパッド建設予定地の決定は,その地域が「やんばる」の重要な位置の一角であるとの認識の欠如にほかならない。ヘリパッド建設予定地には,推定樹齢100年を超える巨木の生育場があり,固有種22種(その幾つかはノグチゲラ,ヤンバルテナガコガネなどに代表され,天然記念物に指定されている),および126種の絶滅危惧種・準絶滅危惧種・希少種や貴重種を含む1,300種以上からなる豊かな生物相を備えていることが知られている。また,同建設予定地は「自然環境保全に関する指針−沖縄島編」(1998)に示されているように,「自然環境の厳粛な保護・保全を図る区域」と「自然環境の保護・保全を図る区域」である。さらに,ヘリパッド予定地周辺は貴重な水源涵養林と豊かな水系を備え,それらの水系がもたらす河川水は県民の生命を支えている福地ダムと新川ダムへ注いでいる。
 環境の破壊は人類の生存をも脅かすばかりか,それを改めなければならないことは誰もが認め,危惧しているところである。そのことから,環境との共存思想が謳われ,「ワシントン条約(絶滅のおそれがある野生動植物の種の国際取引に関する条約)」「ラムサール条約」などが世界共通の願いとなって制定された。日本国ではワシントン条約の趣旨に沿い「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(種の保存法)」が公布された。ヘリパッド建設予定地には,その法律によって指定された保存種(ノグチゲラ,ヤンバルクイナ,アマミヤマシギ,アカヒゲなど)が生息している。このことから,国と県はこの法律を遵守する責務を担っている。
 「やんばる」を「原生自然保全地域」またはそれに類する「特別保護地域」に指定する機運がある今日,ヘリパッド建設計画はそれに逆行するものであり,極めて遺憾である。ここに,沖縄生物学会では同域へのヘリパッド建設計画に強く反対する。
 以上決議する。 

1999年5月23日
                       「沖縄生物学会」第36回大会総会 

決議文の送付先

 1.小渕恵三 内閣総理大臣 2.高村正彦 外務大臣 3.野中広務 沖縄開発庁長官 4.野呂田房成 防衛庁長官 5.林田英樹 文化庁長官 6.山本 徹 林野庁長官 7.真鍋賢二 環境庁長官 8.大森敬治 防衛施設庁長官 9.フォーリ 駐日米大使 10.稲嶺恵一 沖縄県知事 11.沖縄県選出国会議員各位 12.沖縄県県会議員各位(47名)  

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沖縄生物学会の在庫図書の販売について

沖縄生物学会発行の生物目録・講演要旨集,海洋自然科学科生物系から学会に寄贈された雑誌・生物目録,池原貞雄先生から学会に寄贈された報告書の中から,保存用を除いた部数を学会員に販売することになりました。販売部数に限りのあるものもありますので,必ず手紙・ファックス・電子メール(〒903-0213沖縄県中頭郡西原町字千原1 琉球大学海洋自然科学科内 沖縄生物学会在庫図書販売宛,FAX:098-(895)-8576,メール:ktachiha @ sci.u-ryukyu.ac.jp)のいずれかでお問い合わせください。いずれも価格は本自体の値段で,これに郵送料が実費加算されます。書籍によっては,1人1冊に限らせていただく場合もありますのでご了承ください。これらの書籍は,2000年5月21日に開催される,沖縄生物学会第37回大会の会場でも販売されます。

図書名 冊数 価格
黒田徳米 沖縄群島産貝類目録 1960 15 3,000円
鹿児島大学琉球大学琉球諸島共同調査報告 (1) 1961 3 1,500円
琉球大学文理学部紀要 (9) 1966 6 3,000円
琉球大学理学部紀要 (38) 1984 4 1,500円
Proc. MAB/COMAR MICE IV Meeting 1987 3 1,500円
Galaxea 12(1) 1995 20 1,500円
Galaxea 12(2) 1994 12 1,500円
大東島報告書(文化庁) 1973 10 2,000円
ケラマジカ報告書(座間味村) 1976 25 1,000円
ケラマジカ報告書(天然記念物シリーズ11) 1977 36 2,000円
アサヒナキマダラセセリ報告書(天然記念物シリーズ13)1978 6 1,000円
ケナガネズミ報告書(天然記念物シリーズ22) 1981 14 1,500円
尖閣列島報告書(琉球大学) 1974 22 3,000円
琉球列島維管束植物目録 1994 352 3,500円
4学会合同大会講演要旨集 1995 2 1,000円
沖縄の生物の不思議な生活(公開シンポ記録集) 1996 19 1,000円

沖縄県生物学会賛助会員

本学会にご協力いただいている賛助会員は下記の通りです。

株式会社 猪原商会沖縄営業所  所長    安次嶺 学
      〒900 那覇市久米1丁目7番10号  (098)868-6373
株式会社 文教図書       代表取締役 仲田 清栄
      〒900 那覇市泉崎1丁目4番10号  (098)867-6220
株式会社 森山商事       代表取締役 森山 紹政
      〒902 那覇市寄宮2丁目29番22号 (098)835-4056

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原稿募集のお知らせ *
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 沖縄生物学会の原稿は随時受け付けておりますが ,第40号の原稿の締切は2000年12月15日といたします。投稿予定の方は早めに編集委員会までお送り下さい。投稿規定が変更されました。学会通信64号に掲載した新しい投稿規定を御参照下さい。
  なお,ワープロを用いて書かれた原稿についてはフロッピーも同時にお送りいただくと大変助かります。
  
原稿送付先:〒903-0213 沖縄県中頭郡西原町字千原1
  琉球大学理学部海洋自然科学科生物系内
           沖縄生物学会編集委員会
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沖縄生物学会
〒903-0213 沖縄県 中頭郡西原町字千原1番地
          琉球大学理学部海洋自然科学科生物系内
          生物系事務室 TEL:(098)895-8577
          上原 剛(098)895-8897,
          立原一憲(098)895-8556,FAX(098)895-8576

     振替口座 郵便:02030-8-30433 沖縄生物学会
            銀行:琉球銀行宜野湾支店 普通051-065沖縄生物学会

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