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屋我地島沖の小島に棲息するハトと周辺の海底から湧く気体について
山城秀之(沖縄高専・生物資源)


  沖縄県名護市屋我地島沖の小島(ウフ島)に棲息するドバト(ハト)の調査および島の周辺海底から噴出する気体の分析等を行った。
 2004年12月22日,ウフ島と屋我地島の間を飛翔する個体数を12時間観察した結果,ウフ島には800羽〜1,000羽のハトが棲息すると推測された。飛翔開始時間は,ほぼ日の出時刻に一致した(日の出時刻:夏至は5:38,冬至は7:13)。飛翔終了時刻も日の入時刻(冬至17:43)にほぼ一致した。ウフ島は,石灰岩性の複雑な構造の小島のため,ハトの就眠や営巣に適していると考えられる。ハトの主な採餌場所は,約1500m離れた屋我地島済井出西側の豚舎であった。
ウフ島の周辺海底から噴出する気体の成分分析,噴出口の分布調査および噴出量調査を行った。採取した気体の成分分析へ,メタン(CH4),窒素(N2),酸素(O2),二酸化炭素(CO2), 硫化水素(H2S),一酸化炭素(CO)について行った。土の焼却減量の割合や窒素含有量も測定した。
 噴出口はウフ島の東から北側に集中しており,護岸から20 m以内に分布していた。噴出口の数は合計49あり,1噴出口当たりの気体の平均量は,30.7 ml/分であった。気体は可燃性であった。成分は容積 %でそれぞれ,CH4(58.8 %),N 2(35.0 %),O2(4.3 %),CO2(0.1 %),H2S(0.006 %)CO(検出限界以下)であった。ウフ島の土は他の島より有機物に富んでいた。
 以上の結果から,ウフ島では多数のハトの糞成分(有機物)が地下に移行し,メタン発酵により生成されたメタンが石灰岩の隙間を通って海底から噴出した可能性があり,両者の因果関係が疑われる。