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リュウキュウアマモ(Cymodocea serrulata)の花と結実について
*野中圭介((財)港湾空港建設技術サービスセンター),與那覇 健次(那覇港湾・空港整備事務所)


  リュウキュウアマモは熱帯性の海草であり,日本では琉球列島に広く分布する。本種の生態,特に繁殖についての知見が少ないため,演者らは2004年からリュウキュウアマモの花の観察を行っており,今回の発表は第3報になる。過去の発表では,確認例の少ない雄花についてその開花過程を詳細に観察し,雄花の形成時期等について報告した。また,日本では確認されていなかった雌花を初めて確認しモニタリングを行ったが,観察を行った雌花全てが結実に至らなかったことを報告した。そのためリュウキュウアマモの繁殖戦略は,地下茎による無性生殖を主としていると考えられた。そこで今回,未だ日本では報告のない結実や種子の確認を目的に人工授粉を試みた。2006年10月・11月に計50株の雌花に人工授粉を行った。その結果,受粉後約3週間後に8株の雌花で結実を確認した。また,対照実験として観察した70株の雌花では,結実は全く確認できなかった。その後約5ヶ月が経つ2007年4月現在も5株に結実した種子は(3株は消失),宿存している。そこで宿存している種子を1個採取し切開したところ,胚に子葉と思われるものが見られ,腐っている様子も見られず健全な状態と思われた。
  今回の観察で人工授粉ではあるが結実を確認したことから,沖縄島に生育するリュウキュウアマモに有性生殖の能力があることが確認された。しかしながら,自然化では結実の確認はなく,その確率は非常に低いことが示唆された。