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沖縄県の先島4島におけるケブカアカチャコガネ雄成虫の形態および体表ワックス比較
秋野順治・平井剛夫・若村定男(農生研),*新垣則雄 (沖縄農研セ)


 沖縄県の宮古島,伊良部島,石垣島,西表島の4島で分布が確認されているケブカアカチャコガネDasylepida ishigakiensisに関して,各島で採集したオス成虫の形態および体表炭化水素組成を比較した。宮古・伊良部のケブカ雄成虫は,石垣・西表のものと比べ,体サイズが有意に大きく,体色は有意に明るく,体表炭化水素組成に顕著な差異が認められた。しかし,宮古・伊良部間,および石垣・西表間では,それぞれ,ケブカ雄成虫の体サイズと体色に有意な差は認められず,体表炭化水素の組成も共通していた。宮古・伊良部島では主にサトウキビ畑で雌雄成虫ならびに幼虫が捕獲されるのに対し,石垣・西表島では主に山間部での成虫捕獲記録があるのみで,幼虫の採集記録はなく,生息地が異なっているようにみえる。体表炭化水素の種特異性を考慮すると,これらの結果は,宮古・伊良部島に分布するケブカアカチャコガネ個体群は,石垣・西表島で記載されているケブカアカチャコガネの亜種であるとする故三宅義一氏の見解を支持する。